猫まち

俳句的つれづれ日記

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「源氏の恋文」

何度読んだか分からない。
何度でも読みたくなる。
「源氏物語」に登場する恋文(恋文じゃない手紙の話も混じってるけど)をテーマにした、尾崎左永子氏の随筆集。

使われている紙の話から始まって、その紙の色合い、墨つき、書かれている和歌、筆跡、たきしめた香り……それらを繊細に語りあげた一冊。
登場する恋文を語りながら、おのずと登場人物を生き生きと描きだしてくれて、ほんとに飽きない。

たとえば、源氏が、いろいろな女君の筆跡を評するくだり。
六条御息所、朧月夜の君、紫上、秋好中宮……源氏が評した筆跡がそのまま、それぞれの女君の性格を表しているところなど、とても興味深い。

主人から預けられた手紙を相手方へ届ける文使いや、乳母や童のことも随筆中にはよく出てくる。
物語の進行の上で、彼らの役割がなかなかに重要なことを改めて気づかせてくれて、それも面白い。

この本は、決してくだけた文章で書かれているわけではない。
でも堅苦しくはない。
しなやかな文体、という感じだろうか。
こんな文章書けたら素敵だなあ、といつも思う。

で、これを読んだ後、ちょっとの間だけ、気分は王朝人(笑)
普段のがさつな己を忘れるのでありました。

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