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俳句的つれづれ日記
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2023年09月01日 (金) | 編集 |
九月になると堀口大學のこの詩を思い出す。

九月の言葉

  九月、明るい夏のをはり。九月、しとやかな秋のはじめ。
  九月、美しい休暇のはて。九月、新しい学期のはじめ。
  九月、季節の移り変り。九月、移り変りの季節。
  九月、閉された別荘の窓。九月、色褪せた海水着の縞目。
  九月、遊びすごした天使。九月、蹠(あなうら)を焼かない砂浜。
  九月、もう一度ふりかへる地平線――今日は舟さへ出てゐない。
  九月、はしりの秋風。九月、満ち足りた頼りなさ。
  九月、のび過ぎた芝生。九月、動かないぶらんこ。
  九月、潮風の肌じとり。九月、都心へのノスタルジー。
  九月、避暑地の友情のをはり。九月、また一つの思ひ出の数。
  九月、九月、九月、日焦の手足の後始末.......。
                    (堀口大學 『白い花束』より)

今日から九月。
今年の八月は、あっという間に呆然と風のように過ぎた。
なんにも残らない、からっぽな八月だった。