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俳句的つれづれ日記
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2022年07月04日 (月) | 編集 |
『花嫁殺し』(カルメン・モラ著 宮崎真紀訳)
スペインのミステリ、というか警察小説を読むのは初めてだった。

特殊分析班の個性的な面々。
主人公であるエレナ(警部)の抱えている闇。
捜査は二転三転。
映画化でも狙っているのか? という印象はあったが、面白い小説であることは確かだ。
ちょっと見には人のいい初老の婦人なのに、実は凄腕のハッカーであるマリアホがいい感じ。

ただ、事件はグロい。
被害者は脳に穴を穿たれ、そこに蛆を詰め込まれていた。
まだ生きている状態で、蛆に脳を食われて死ぬという残酷さ。
こういうのが苦手な人にはお勧めできない。

ちなみに、殺人に使われたのは「ラセンウジバエ」の幼虫。
牛や羊などの家畜の傷口に産みつけられた卵が孵化したら、その家畜の生きた組織を食べながら成長する……らしい。

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ところで。
カルメン・モラは作品発表当時、覆面作家だった。
既に著作の多数あるベテラン作家ではないか――などと本の後書きには書かれていたが、検索してみたら既に正体は判明していた。
実はテレビの脚本家である三人の男性の共作だったらしい。
道理で! 映画化狙いっぽい作風になるわけだ。 とても納得。

エラリー・クイーンや、シューヴァル&ヴァールー夫妻、岡島二人など、ミステリの世界では共作は珍しくはない。
でも、男性作家三人の共作ってのはあまり無いのでは。
三人がどうやって作品を完成させてるのか、ちょっと興味がある。
二人なら、一方がプロットを考えて一方がそれを文章化する……みたいな分業制かなと思うけど。



昨日、ウィンブルドンでは100周年記念だかのセレモニーが行われた。
(全員ではないが) シングルスの歴代優勝者が勢揃い。
もちろんLHもその一人だった。
セレモニーのスーツ姿も悪くないけど、やっぱりテニスウェアでコートを駆けまわってる時が一番いい。

2022年05月05日 (木) | 編集 |
連休中に読んだ本のうちの一冊が、宇能鴻一郎の短編集。
『姫君を喰う話 宇能鴻一郎傑作短編集』(新潮文庫)
芥川賞を受賞した『鯨神』など六篇収録。
既読の作品もあったが、改めてその筆力と迫力に圧倒されてしまった。
濃厚。
否応なしに作品世界へ引きずり込まれてしまう。

この作家が、女性の一人称のポルノ小説で一世を風靡したことも、若い世代はもう知らないのだろうな。
かつて、スポーツ紙や男性週刊誌にこの人の名を見ないことはなかった(と思う)
そのポルノ小説をちゃんと読んだことはないが、あの独特の文体は印象的だった。

2022年04月16日 (土) | 編集 |
結局、今日は体調が今ひとつなこともあって、夕方までだらだら過ごした。
本を読んだり、昼寝したり。
昼間読んだのは、この二冊。

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『ウサギ料理は殺しの味』(ピエール・シニアック ・著/ 藤田 宜永 ・訳)
えーと……何といえばいいのだろう。
ミステリではあるが、とりあえず「普通のミステリ」ではない。
万人に受ける、という作品ではない。
癖の強い香辛料をきかせた料理みたいなもので、かなり好き嫌いは別れる一冊。(私は好きだ)

読後感は、ハリー・クレッシングの『料理人』を読んだときみたいだった。
作品そのものが似ているわけではない。
ただ、読んだときの何ともかんとも奇妙な後口が。

『春にして君を離れ』(アガサ・クリスティー・著/ 中村 妙子・訳
ミステリではない、クリスティーの作品。
世評が高く、タイトルは知っていた。
でもほら、このタイトルだと甘い恋愛小説みたいで、手が出なかったのだ。

ぜんぜん、甘くなかった。
むしろ苦い小説。
主人公の女性が嫌な女で、でも身近にいそうで。
身近にいそうっていうか、自分にもこういう一面があるのだろうな、と。

2022年01月14日 (金) | 編集 |
年始に読んだ本のうちの一冊。
カレル・チャペックの 『白い病』 (阿部賢一訳・岩波文庫)

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1937年に発表された戯曲の新訳。
緊急事態宣言下で訳されたものだそうで、コロナ禍の今だからこそ……という意図なのだろう。
作品自体は短いものだし、とても読みやすい。
短いながらもドラマチックだし。
ラストはなんとなく予想はつくけれど、今読んでも決して古びていない佳作だと思う。

2021年10月29日 (金) | 編集 |
ある年代以上の本好きなら 「ハロウィンという行事を知ったのは、ブラッドベリの小説で」
――という人も多いのではなかろうか。
彼はハロウィンの物語をさまざまに紡いだけれど、一番印象に残っているのはコレ。
『十月のゲーム』 だ。

愛情の冷め切った夫婦と、その一人娘。
妻と、妻にそっくりに生まれた娘を憎む夫。
ならば離婚すればいいものを、離婚したら妻が喜ぶだろうというだけで彼は離婚しない。
(そんな生活、嫌すぎる)

そしてハロウィンの夜、娘の友達やその親たちを招いて開いたパーティー。
灯りを消した地下室で始まるゲーム。
少しづつ、じわじわと怖ろしい真相が見えかけてくる。
最後まで、その惨劇をはっきりとは書かない。
でも、誰が読んでも分かる。
そんな話。